てんかん


症状:けいれん、口をくちゃくちゃする、脱力などの症状が一過性に起こる(てんかん発作)原因としててんかんがあります。柴犬が突然激怒するのもてんかん発作の可能性があります。

時々発作が起こるけどそれ以外は正常(病院でも正常)という事も多いため、スマホ等で症状の動画を全身が入るように撮影してください。動画をもとに獣医師が症状を確認出来ます。

 

○てんかんの原因

特発性てんかん、脳炎、脳腫瘍など様々な疾患がてんかん発作を引き起こす原因となっています。

 

●特発性てんかん

繰り返してんかん発作を起こすのに発作を誘発する脳外の原因がなく脳にも構造的な異常がない場合は特発性てんかんと診断されます。特発性てんかんは適切な抗てんかん薬の内服で多くの場合コントロール可能です。

てんかん発作が止まらない(てんかん重積状態)のは死につながります。迅速で適切な治療によって、原因が特発性てんかんの場合は多くが重積状態から離脱して日常生活に戻ることが出来ます。

●脳炎

犬ジステンパーウイルス感染症、猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIP)感染症など感染性の脳炎と、肉芽腫性髄膜脳炎(GME)、壊死性髄膜脳炎(NME)、壊死性白質脳炎(NLE)などの非感染性脳炎に分類され、最近では多くが非感染性脳炎です。GME、NME、NLEなどは現在のところ原因不明の脳炎ですが、適切な診断と治療で症状を抑えることが出来る場合が多いです。

肉芽腫性髄膜脳炎(GME)

中年齢の小型犬で多くみられます。

壊死性髄膜脳炎(NME)

パグ・マルチーズ・シーズ・ペキニーズ・ポメラニアン・チワワなどの特定の小型犬種でみられます。


 

●脳腫瘍 

7歳以上で初めててんかん発作が起こった場合、脳腫瘍の可能性を第一に考えます。犬の脳腫瘍の発生率は人間と比べて非常に高いです。脳腫瘍は、発生部位と腫瘍の種類を元に手術、放射線療法、化学療法、対症療法などを組み合わせて治療します(放射線療法のみ山口大学動物医療センターへ紹介します)。症状として重度のてんかん発作が認められていても、手術しやすい部位の髄膜腫であれば手術のみで2年以上元気に過ごせる犬が多くなってきています。また、手術や放射線療法が選択できなくても適切な対症療法で長期間元気に過ごせる可能性があり、腫瘍の種類と発生部位によっては対症療法のみで3年以上元気にしている犬もいます。とはいえ、てんかん発作を繰り返すことで損傷した脳は完全に元には戻りませんので、できるだけ早い診断・治療が重要です。当院では開頭手術の実績は50症例以上あります。

犬の組織球性肉腫(脳腫瘍)

犬と猫の脳の組織球性肉腫のMRIの特徴は世界で始めて当院から報告されています。

犬の髄膜腫

手術後は腎不全で亡くなるまで4年弱元気に過ごしました。